「マーケティング」というものは永遠に続く相対的な投資マラソンのようなものです。あなたが個人事業主で1店舗だけのローカルビジネスだけに専従しているのであれば、運さえよければ「マーケティング」というものを意識しなくても、自身のビジネスを継続していくことは可能かもしれません。しかし、ビジネスを大きくスケールさせたいと考えているのであれば「マーケテイング」というものを避けていては目指すゴールにたどり着くことは難しくなるでしょう。
この事実を理解して、改めて「マーケティング」という概念の幅広さ、奥深さに気づいてしまうと人はその膨大な「やらなければならないこと」を目の前にして絶望感で動けなくなってしまうかも知れません。けれども恐れることはありません(正確には恐れていても何もいいことはありません)。世界中に存在する「ブランド」は全て基本的には人の手でこの膨大なタスクをこなしてきているのです。
この事実を理解した上で、永遠に続く相対的な投資マラソンに挑む方たちのために、私が何社ものマーケティングを見てきた中で「なんとなくこのあたりを基準に頑張っていると次の目標に到達しやすいですよ」と考えているSEO施策のステップガイドをお送りします。
DRは、Webサイトの被リンクプロフィール(どれだけ多くの、質の高いサイトからリンクされているか)を0から100のスケールで評価した指標です。検索エンジンの評価そのものではありませんが、サイトの権威性や検索順位との相関が高いとされています。DRが高いほど、新しいページがインデックスされやすくなったり、競争の激しいキーワードで上位表示しやすくなったりする傾向があります。
上記しているように「DR≠検索エンジンの評価そのもの」ですが、基本的におかしなブラックハットSEOなどに手を染めていない限り、大体「DRの数値」と「ビジネスの段階」は比例関係にあります。経験のあるマーケターならば、DRを見るだけでもある程度の組織の現状、やるべきことがぼんやりとは見て取れるものです。
以下に記す「DRとSEO施策」は平均的な比例関係にある場合に大体こういうことをやっておけばいいだろうという組み合わせですので「厳密にDRが〇〇なら絶対コレ」という様には読み取らず、「自身の組織はここで説明されている状態と同じくらいだからこの施策を取り入れてみよう」くらいの粒度でお付き合いいただけると幸いです。
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新規ドメイン、または長期間放置されていたサイト。検索エンジンにもほとんど認識されておらず、被リンクもほぼありません。広告・チラシ・指名検索(社名やサイト名での検索)以外での流入はほとんど期待できない。
検索エンジンにサイトの存在とテーマ(何を専門としているか)を正しく認識させ、SEOの土台となる技術的な基盤を完璧に整えていきましょう。
サイトの状況を把握するための必須ツール。導入と初期設定を必ず行う。
検索エンジンにサイトの全ページ構成を伝え、クロール(情報収集)を促す。
現在のWebサイトでは必須。セキュリティとユーザーの信頼性に関わる。
まずは競合のいないロングテールキーワード(例「東京 ホームページ制作 おしゃれ 安い」)や、自社の指名キーワードに絞る。ビッグキーワード(例「ホームページ制作」)はまだ狙わない。
ユーザーと検索エンジンが迷わない、論理的でシンプルな構造を設計する(TOP > カテゴリ > 詳細ページなど)。
各ページのtitle、meta description、ogp、h1タグなどに、狙うキーワードを含めて設定する。
TOPページ、会社概要、事業・サービス内容、お問い合わせ、プライバシーポリシーといった、サイトの骨格となるページを丁寧に作り込む。
自社が「何の専門家」であるかを示す基本的な記事を数本投稿する。(例: Web制作会社なら「良いホームページとは何か?」など)
「Googleビジネスプロフィール」、「Apple Business Connect」、「iタウンページ」「エキテン」などに自社事業を登録する。特に店舗やオフィスがある場合は必須。
プロフィール欄に必ず自社サイトのURLを記載する。
※無理な被リンク獲得は厳禁
この段階で焦って低品質なリンクを増やすのは逆効果。まずはサイトの土台作りに100%集中する。
検索エンジンに存在を認知され、一部のニッチなキーワードで検索結果に表示され始めている。被リンクが少しずつ自然発生、または意図的に獲得できている。
専門分野におけるコンテンツを増やし、サイトのテーマ性を強化する。関連性の高い、質の良い被リンクの獲得を開始する。
ユーザーの悩みや疑問を解決する記事(How-to記事、解説記事、事例紹介など)を定期的に投稿し、コンテンツ量を増やす。
特定のテーマ(例:「SEO対策」)について、それを包括する親記事(ピラーページ)と、詳細を解説する子記事(クラスターページ)群を作成し、内部リンクで繋ぐ。これにより、テーマ全体の専門性を検索エンジンに示す。
提供するサービス一つひとつについて、内容、特徴、料金、導入事例などを詳しく記載したページを作成する。
上記のトピッククラスターモデルを実践し、関連する記事同士を適切にリンクで繋ぐ。ユーザーの回遊性を高め、Googleにページの関連性を伝える。
パンくずリスト、記事、FAQなどの情報を構造化データで記述し、検索結果にリッチリザルト(付加情報)が表示されるよう促す。
Core Web Vitals(ページの読み込み速度、インタラクティブ性、視覚的安定性)の改善に着手する。画像の圧縮、不要なプラグインの削除など。
(制作会社やコンサルタントの場合)クライアントに許可を取り、実績サイトのフッターなどからクレジットリンクを設置してもらう。
関連性の高い取引先やパートナー企業のサイトに紹介してもらう。
関連テーマを扱う小規模なブログやメディアに記事を寄稿し、プロフィール欄からリンクを獲得する。
サイトのテーマ性が確立され、複数のニッチキーワードで上位表示されている。オーガニック検索からの流入が安定して発生し、サイト名での指名検索も増え始める。
ニッチ分野でのNo.1を目指し、より競争の激しいキーワードに挑戦する。コンテンツの質と量をスケールさせ、被リンク獲得を能動的に行う。
公開済みの記事の情報を最新に保ち、検索順位が低下している記事を分析・改善して順位回復を図る。
競合上位サイトを分析し、自社コンテンツに不足している情報やトピックを網羅した、より質の高い「まとめ記事」や「解説記事」を作成する。
調査レポート・独自データ: 業界に関するアンケート調査などを実施し、その結果を公開する。データは引用されやすく、質の高いリンクに繋がりやすい。
業界内で役立つチェックリストやテンプレート、簡易計算ツールなどを提供する。
より権威のある中規模メディアへの寄稿を目指す。
自社名がリンクなしで言及されているページを見つけ、運営者に連絡してリンクを設置してもらうよう依頼する。
メディアからの取材依頼や情報提供依頼に積極的に応じ、専門家としてコメントを提供することで被リンクを獲得する。
運営者情報、監修者プロフィールを詳細に記載する。記事内に筆者の経験談や一次情報を盛り込む。公的機関や権威あるサイトからの情報を引用し、出典を明記する。
ニッチ分野のオーソリティ(権威)として認識されている。ミドルキーワードでも安定して上位表示され、サイト全体のトラフィックも大きい。自然発生する被リンクの数が増えてくる。
ニッチ分野での圧倒的地位を固める。ブランド認知を向上させ、より広い領域での権威性を確立する。
新サービスや調査レポートのプレスリリースを配信し、大手ニュースサイトや業界紙からの被リンク・言及を狙う。
業界内のインフルエンサーや大手メディアの編集者と関係を構築し、共同企画や大型タイアップ記事などを実施する。
業界のカンファレンスやウェビナーに登壇・協賛し、公式サイトからの被リンクや認知度向上を図る。
成功したブログ記事を動画(YouTube)、ポッドキャスト、スライド(SlideShare)など、別のフォーマットに展開してリーチを拡大する。
上位表示されているページのコンバージョン率を高めるためのA/Bテストや導線改善を行う。
サイト規模の拡大に伴い発生しがちなクロールエラーやリンク切れなどを定期的にチェックし、サイトの健康状態を維持する。
業界のトップランナーであり、強力なブランドを確立している。ビッグキーワードでも上位に表示され、被リンクは継続的に自然発生する。サイトそのものがメディアとして機能している。
業界のリーダーとしての地位を維持・強化する。ブランド力を活用して、ビジネス全体を成長させる。
業界全体を巻き込むようなイベントを主催し、リーダーシップを発揮する。
口コミやレビュー、SNS投稿などをサイトに組み込み、ユーザーコミュニティを活性化させる。
あらゆるマーケティング活動を通じて指名検索を増やし、ブランドの想起率を高める。
業界の未来を予測したり、新たな概念を提唱したりするような、オピニオン色の強いコンテンツを発信する。
他の権威あるサイトと共同で大規模な調査やコンテンツを作成する。
競合の動向を常に監視し、ブランド毀損に繋がる情報がないかチェックする。
最新の技術動向(新しいスキーマ、Web標準など)をいち早く取り入れ、最高のユーザー体験を提供し続ける。
DR段階 | フェーズ | 主要目的 | 内部SEO | コンテンツSEO | 外部SEO |
---|---|---|---|---|---|
0-10 | 黎明期 | 基礎固めとGoogleへの認知 | 技術的SEOの完璧な実装 | コアページの作成、基本記事の投稿 | SNS・GBP登録 |
11-20 | 成長初期 | コンテンツ拡充と初期の信頼獲得 | 内部リンク最適化、表示速度改善 | お役立ち記事の量産、トピッククラスター | 実績サイトからのリンク、小規模ゲストブログ |
21-30 | 成長中期 | 専門性の確立 | E-E-A-T強化、リライト | 網羅性の高い記事、リンクベイト作成 | 積極的なアウトリーチ、中規模ゲストブログ |
31-40 | 確立期 | ニッチの支配 | CRO、定期的な監査 | 大型コンテンツ、横展開 | デジタルPR、有力メディアとの関係構築 |
41+ | 権威期 | 市場の牽引 | 技術の卓越性維持 | ソートリーダーシップ、UGC活用 | ブランド施策、イベント主催 |
かなり大雑把にSEO施策のステップを説明してみましたが、この粒度で説明してもなかなかのタスク量が存在するのがご理解いただけたと思います。その上、ここで紹介した各ステップの施策一つ一つのどれをとっても適当に行って正解にたどり着くようなものはあまりありません。どれもがそれなりの数値的な裏付けとロジックをもって臨むべき難問ぞろいです。
当然このような難問に挑むのですから、時間的金銭的コストもそれなりに必要になってきます。私見ですがDR10毎に前段階の10ランクを挙げるのに必要だったコストの2,3倍くらいは最低でも必要になってくるイメージでしょうか。そんなにかかるのなら手を出さなくてもいいやという選択肢は「相対的投資マラソン」においてはあまり得策ではありません。
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